今回は、贈与税における配偶者控除とその登記についてです。
居住用不動産を贈与したときの配偶者控除婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高 2000 万円まで控除(配偶 者控除)できます。
この特例の適用を受けるには贈与税の申告書と次の書面の提出が必要です。
① 贈与日後10日経過後の戸籍謄本・抄本
② 同戸籍の附票の写し
③ 居住用不動産の登記事項証明書等店舗兼住宅の持分贈与を受けた場合、店舗兼住宅について、例えば居住用部分の50%の贈与をしたとして、登記面ではそれが全体の25%の持分贈与と表記されたとしても、居住用部分のみの贈与と扱われることになっています。
また、居住用部分がおおむね 90%以上の場合は全て居住用不動産として扱うことができます。
居住用不動産贈与と相続税の扱い配偶者控除適用居住用贈与不動産は、相 続開始前3年内贈与加算の対象外です。
また、その贈与が相続開始年になされた場合は、その居住用不動産のうち、贈与税の配偶者控除があるものと仮定して控除される部分は、相続税の課税価格に加算されず、相続税の対象となりません。
所有権移転登記は要件か?
贈与の対象となった居住用不動産の登記事項証明書の添付は、この贈与税の配偶者控除特例の適用要件でした。
でも、贈与による所有権移転登記そのものは、適用要件ではありません。
それで、平成28年に、贈与による居住用不動産取得の事実が確認できる書類を添付する事に省令改正されました。
登記事項証明書は、その事実確認書類の一つの例示例となっています。
登記を要件にできない色々な理由がある登記には第三者対抗要件はあるものの、義務ではなく任意なので、税法の適用要件に登記を義務づけることは憚られるのだと思われます。
それに、店舗兼住宅での登記のように、居住部分のみの登記は受け付けられないし、大きな敷地の一部の居住部分の贈与の場合、分筆等が必要となる場合などを考慮すると、測量費なども含め、登記費用負担が居住用 不動産贈与の特例適用の妨害要因になってしまうからなのだと思われます。
この記事の監修

-
税務調査専門の税理士
元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。
最新の投稿
- 2024年6月13日メディア実績【展示】「JDL AI-OCR ご体感フェア」にてアップビレッジの導入事例が展示されました
- 2024年3月11日コラム採用成功の鍵を握る適性検査~導入メリットと選定のポイント~
- 2024年3月11日コラム採用ブランディングの全貌~企業成長のカギを握る戦略~
- 2024年3月11日コラム新時代の会計事務所選び~ワークライフバランスを実現するためのガイド~