本日は、今後の日本の未来を考えると非常に重要なテーマではあるけれども、難しいテーマでもある「男性の育児休業取得支援(子育てパパ支援助成金)」についてコラムをお送りさせて頂きます。

男性労働者の育児休業取得

1991年に育児休業制度が法制化されて30年、厚労省2019年度調べでは女性の83%が取得しているものの、男性の育児休業は微増とはいえ7.48%に留まっています。

取得できない理由は「休めない」「取得できない雰囲気」等ありますが、2017年の日本生産性本部の調査では男子新入社員の8割が「子が生まれたら育休を取りたい」と希望しています。男性の育休取得は仕事への意欲向上にもつながることでしょう。

両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)

企業が男性の育児休業取得を推進する時に活用できる助成金があります。男性労働者の育児休業を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、男性労働者に子の出生後8週間(出生時を含む57日間)以内に中小企業は連続5日以上の育児休業を取得させると申請できます。

なお、5日の休業期間は所定労働日が対象ですが1日だけは所定休日でもよいので、例えば土日が休日の男性社員が火、水、木、金、土のように本来労働日の火~金と休日の土を入れて連続5日としても認められます。

助成額は中小企業で1人目57万円、2人目以降は育休の長さがA、5日以上、B、14日以上、C、1か月以上の取得でA、14.25万円、B、23.75万円、C、33.25万円、人数は1年度10人を上限に申請できます。

個別支援加算

令和2年度に新設されたもので、企業が育児休業取得前に次の4つを行った場合に加算されます。同一労働者1回限りです。

1 メールや書面で対象男性労働者に個別に育休について知らせる。
2 対象男性労働者に育児休業取得を促すための個別面談を行う。
3 対象男性労働者の上司に対し、男性対象者に育休を促している旨の説明を行う。
4 上司に対し対象男性労働者に明示した①の書面を明示する。
5 中小企業は1人目が10万円、2人目以降は5万円が支給されます。

育児目的休暇制度

男性労働者が子の出生前6週間から出生後8週間の間に、育児休業とは別に所定労働日5日間を休業取得する(不連続でもよい)制度を利用すると28.5万円が1回受給できます。育児休業と育児目的休暇をそれぞれ5日以上取得すると両方の助成金の申請も可能です。

(補足)

両立支援等助成金(出生時両立支援コース「子育てパパ支援助成金」) 男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、その取組によって男性労働者に育児休業や育児目的休暇を取得させた事業主に対して助成する。
※育児目的休暇とは、目的の中に育児又は配偶者の出産支援を目的とするものであることが明らかにされている休暇制度。

関連する政府目標:男性の育児休業取得率

13%以上(2020年まで)(日本再興戦略)

(主な支給要件)

1 男性労働者の育休取得
●男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのため
(以下の★のような取組を行うこと)

●男性が子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得すること。

2 育児目的休暇の導入・利用
●子の出生前後に育児や配偶者の出産支援のために取得できる休暇制度を導入すること。
●男性が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりのため、★に準じた取組を行うこと。
●上記の新たに導入した育児目的休暇制度を、男性が子の出生前6週間または出生後8週間以内に合計して8日 (中小企業は5日)以上取得すること。

★「職場風土づくりの取組」とは 「管理職に対して、男性の育休取得についての研修を実施する」 など、男性が育児休業を取得しやす い職場風土づくりのための取組をさします。

(中小企業の助成額)

( )は生産性要件を満たした場合
1人目の育休取得  57万円(72万円)
個別支援加算    10万円(12万円)

2人目以降の育休取得
a 育休 5日以上: 14.25万円 (18万円)
b 育休14日以上: 23.75万円(30万円)
c 育休1ヶ月以上: 33.25万円(42万円)
個別支援加算 5万円(6万円)

育児目的休暇の導入・利用
28.5万円(36万円)
一事業主1回限り

この記事の監修

植村悦也
植村悦也
税務調査専門の税理士

元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。