会社設立の手続きは、自分で行う方法と外部委託する方法の2種類あります。

自身で手続きする場合も専門家に依頼する場合も、それぞれに利点と注意点がありますので、会社設立に必要な手続きと、オススメの手続き方法について解説します。

会社を設立する際にやらなくてはいけない手続き

会社を設立する場合、大きく3種類の手続きを行うことになります。

<会社設立時に必要な手続き>

● 定款認証
● 会社設立登記申請
● 会社設立届の提出

定款認証とは、会社の活動方針を定めた「定款」を公的に証明するための手続きです。

定款認証の手続きは、会社の住所を管轄する法務局に所属する公証役場で行います。

会社設立登記申請は、会社の住所や代表者の住所・氏名、事業目的などを公に公開するための手続きです。

登記申請は会社の住所を管轄する法務局で手続きを行い、申請書の他に印鑑届や定款など多くの書類を提出しなければなりません。

会社設立届出とは、税務署や都道府県税事務所などに会社を設立したことを届け出る手続きです。

たとえば税務署には設立の日以後2か月以内に、「法人設立届出書」を納税地の税務署に提出しなければなりません。

自分で会社設立を行うメリット・デメリット

会社設立を自身で行う際のメリット・デメリットを解説します。

一見すると自分で手続きした方がいいように思われますが、落とし穴もありますのでご注意ください。

メリット:設立費用を抑えられる

自分で会社設立の手続きをする最大のメリットは、手続きを外部委託する際に発生する報酬費用を削減できる点です。

会社を設立する際には定款の認証手数料や定款印紙代、登録免許税などの費用がかかり、それらの支出を削ることは難しいです。

一方、設立登記申請などは自分で手続きすることも可能なので、自ら作業を行えば報酬費用分の支出を節約できます。

会社を設立する際は何かと支出が多くなるため、少しでも費用を抑えたい方は自分で手続きを行い支出額を抑える選択肢もあります。

デメリット:会社設立の手続きには専門知識が必要

法務局で行う会社設立登記には、さまざまな書類を添付することになるため、自分で手続きする際は必要になる書類を調べるところから始まります。

申請方法を調べるにも時間はかかりますし、初めて会社を設立する人ならスムーズに作業を進めることも難しいです。

また申請書に記載不備があったり、提出書類が欠けていると申請を受理してくれませんので、手続きが完了するまでには時間と労力がかかってしまいます。

専門家に会社設立を依頼するメリット・デメリット

会社設立を専門家に依頼すれば、手続きする手間が削減できます。

またデメリットにつきましては、一概にマイナスとは言い切れない部分もありますので解説します。

メリット:設立作業にかかる時間を削減できる

個人事業主から法人に成る場合、事業を継続しながら会社を設立することになり、設立作業と事業経営は並行して作業するのは多大な時間を要します。

会社を立ち上げる際は、法人名義の銀行口座を開設したり取引先への挨拶などやるべき作業が多く、本人以外ができる作業は外部委託するなどのの工夫をしないと時間が足らなくなる可能性が高いです。

会社登記は専門知識がないと手続きに時間を要しますので、専門家に手続きを委託するだけでも、事務作業が軽減します。

外部委託をすれば会社設立者は自身にしかできない仕事に専念できるため、作業分担による効率化を図れます。

デメリット:会社設立手続きに対する報酬費用が発生する

専門家に設立依頼をするデメリットは、報酬費用の発生です。
手続きに際しての報酬は、会社の規模や設立内容によって異なりますが数万円かかります。

少しでも費用を抑えたい場合にはデメリットとなりますが、同時に専門家へ依頼することで会社設立手続きに要する時間を削減できるメリットもあります。

自身の役員報酬を時給換算(2,000円/h)すると、手続きに30時間要した場合、手続きにかかるコストは6万円(2,000円×30時間)です。

もし6万円で専門家に会社設立手続きを依頼できるのであれば、自分で手続きした場合のコストと同じであり、手続きを外部委託した分だけ30時間の労力を会社運営に費やすことが可能になります。

つまり専門家に手続きを依頼する際の報酬は、自身の時間を確保するための対価とも考えられますので、一概にデメリットとは言い切れません。

会社設立手続きは専門家に依頼すべき理由

会社設立手続きを自身で行う場合と、専門家に依頼する場合のメリット・デメリットをご説明してきましたが、結論としては専門家に依頼することをオススメします。

自身で手続きした際のミスによる損失リスクは大きい

会社を設立する本人に専門知識があり、専門家と同程度にスムーズに手続きできる際は、設立登記を依頼せずに自身で手続きしても問題ありません。

しかし起業するほとんどの方は登記手続きの知識はありませんので、一から調べて書類を作成したり、添付書類を揃えることになります。

不備があれば書類の再作成や再度書類を取りに行く必要があるなど、1回で手続きが完了するとは限りませんので、想像以上に時間がかかります。

手続きに時間を割くと本業に影響が出てしまう可能性もあるため、リスク回避の観点では専門家に手続きを依頼すべきです。

専門家との連携は会社を経営するためには必要不可欠

会社設立後も登記手続きなど専門家に依頼する機会は多いため、会社を運営していく上で、信頼できる専門家と関係性を持つことは重要です。

たとえば法人税の申告を行った際、申告内容に誤りがあれば税務調査により指摘を受け、余計な税金を納めることになります。

その点会社設立時から携わっている司法書士や税理士がいれば、不明点や節税のアドバイスを受けることが可能です。

会社設立手続きのまとめ

会社を設立する人に時間と知識があれば、専門家に依頼せずに自身で設立手続きすることも可能です。

しかし会社を立ち上げる時は忙しいため、設立手続きに使える時間はほとんどありませんし、申請に不備があれば余計に時間がかかります。

専門家に依頼した報酬は、会社にとって支出です。

ただ設立者が会社運営に専念できるメリットを考慮すると、報酬費用を支払う対価はありますし、滞りなく設立手続きが終わるのは精神的負担も軽くなります。

司法書士と税理士が連携していれば、登記手続きから法人税の申告・節税まで相談することが可能です。

会社を立ち上げる際は何かと専門知識を必要とする機会も多いため、設立手続きは専門家に依頼することをオススメします。

この記事の監修

植村悦也
植村悦也
税務調査専門の税理士

元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA