会社運営していると、融資を受ける際や取引先の情報を調べるために法人の登記事項証明書を取得する機会は幾度とあります。

本記事では登記事項証明書の取得方法および、証明書が必要になるケースについて解説します。

法人登記は会社として法的に認めてもらう制度

法人登記は法務局に会社の情報を登録する制度であり、会社を立ち上げた際は必ず手続きしなければなりません。

法人登記を行うと会社の所在地や代表者の住所・氏名は公開され、登記事項証明書を取得すれば誰でも登記情報は確認できます。

個人事業主には法人のような登記制度はありませんので、同じ規模で事業を行っている場合、個人よりも法人の方が社会的信用力は高いです。

登記簿謄本と登記事項証明書の違い

登記簿を確認する際の書類としては、登記簿謄本と登記事項証明書の2種類あります。

「登記簿謄本」は登記簿をコピーした証明書をいい、「登記事項証明書」はデジタル管理している情報を印刷した証明書です。

登記事項を証明する書類としては、登記簿謄本も登記事項証明書も同じです。

デジタル化以前の登記簿を確認する際は、証明書として「登記簿謄本」を取得していましたが、法務局のデジタル化が進んだ関係で、現在登記事項を確認する際は原則「登記事項証明書」を取得します。

(昔からの名残で、「登記事項証明書」を「登記簿謄本」と呼ぶ方もいらっしゃいます。)

登記事項証明書を取得するケース

登記事項証明書は、法人の存在を証明する書類としても用いますし、取引相手を調べる際に取得することもあります。

融資を受ける際の法人確認書類として利用

金融機関から融資を受ける場合、登記事項証明書の添付が求められます。

登記簿謄本は、法人が存在することを証明する書類であり、個人にとっての戸籍に相当する書類です。

また役所の手続きや申請時に、登記事項証明書の添付を求められる機会もあるため、その際は証明書を取得して申請書に添付します。

取引相手の情報を確認するため

登記事項証明書は自社だけでなく、他社の登記事項証明書も取得可能であり、証明書を請求した事実は対象となった法人に知られることはありません。

登記事項証明書には、設立年月日や資本金、代表者の住所・氏名などが記載されているため、取引先が信用できる相手かを確認する手段としても利用できます。

登記事項証明書の種類

登記事項証明書には4種類あり、法人の確認したい情報によって取得すべき証明書は異なります。

<登記事項証明書の種類>

書類の名称記載事項
現在事項証明書●現に効力を有する登記事項
●会社成立の年月日
●取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役および会計監査人の就任の年月日
●会社の商号および本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のもの
履歴事項証明書
(従前の登記の謄本に相当するもの)
現在事項証明の記載事項に加えて、当該証明書の交付の請求のあった日の3年前の日の属する年の1月1日から、請求の日までの間に抹消された事項等
(職権による登記の更正により抹消する記号を記録された登記事項を除く)
閉鎖事項証明書閉鎖した登記記録に記録されている事項
代表者事項証明書
(資格証明書に代わる証明書)
会社の代表者の代表権に関する事項で、現に効力を有する事項

※閉鎖された登記簿などのデジタル管理されていない登記簿は、登記簿謄本または抄本を証明書として交付されます。

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書を取得する方法は、窓口請求、郵送請求、オンライン請求の3種類あります。

窓口請求は、管轄の法務局または最寄りの法務局窓口で請求書を提出する方法です。

郵送請求は、請求書を管轄の法務局または最寄りの法務局に郵送する方法です。

郵送する際は封筒に返送先を記載した返信用封筒および、切手を同封してください。

オンライン請求は、法務局に対して手数料を支払うことで、オンライン上から登記事項証明書を請求できる方法です。

オンラインで請求した登記事項証明書は、指定した法務局で受け取るか、指定した送付先に送付してもらう方法のいずれかを選択できます。

オンライン請求をした場合には、パソコン上で登記事項を確認し印刷することも可能ですが、印刷したものは証明書として扱われませんのでご注意ください。

なお登記事項証明書を請求する際は手数料が発生し、請求する方法によって手数料は異なります。

<登記事項証明書の取得手数料>

区分手数料
登記事項
証明書
(謄抄本)
窓口(書面)
請求
600円
オンライン
請求・送付
500円
オンライン
請求・窓口
交付
480円

http://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/

登記事項証明書の取得方法・取得するケースのまとめ

法人登記の情報は誰でも確認でき、最寄りの法務局やオンラインで登記事項証明書の申請はできます。

確認したい法人情報によって取得すべき登記事項証明書は変わりますので、先方から登記事項証明書の提出を求められた際は、必要となる証明書の種類を確認してください。

また取引相手の法人情報を調べたい場合も、登記事項証明書は有効です。

規模の小さい会社や、昔から続いている会社は自社ホームページを開設していないことも多いですので、そのような際は登記事項証明書を取得して法人情報をご確認ください。

この記事の監修

植村悦也
植村悦也
税務調査専門の税理士

元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。

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