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税務監査の際に税務署が注視する「源泉所得税」のキーポイント

2023.10.24

税務監査の際に指摘を受けやすい要素は数多く存在しますが、その中でも年末調整の瑕疵や源泉所得税の不適切な徴収は特に着目される課題の1つと言えます。

この記事では、源泉所得税の基本的な理解を深めると共に、税務監査における源泉所得税に対する注視ポイントについて、明快で理解しやすい説明を提供します。

この記事の監修

税務調査レスキュー110番 税務調査専門の税理士

植村悦也(うえむら えつや)

元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。

税務調査レスキュー110番
植村悦也

源泉所得税とその特性

源泉所得税とは何か、それは何に対して課せられる税金なのでしょうか。

1.1 会社が従業員のために支払う所得税

源泉所得税とは、具体的には、従業員の給与に対して課される税金で、従業員が受け取る給与から一定の計算法に基づいて控除され、企業から直接国へ納められます。このプロセスは一般に源泉徴収と呼ばれ、徴収された税金が「源泉所得税」と呼ばれます。

現在、給与所得者は約5,928万人とされ、もし全ての人が個別に所得税の手続きをするとなると、税務署に大きな負担がかかってしまいます。それを避けるために源泉徴収という方式が採用されています。

1.2 源泉所得税が税務調査で注目される理由

源泉所得税が税務調査の注目点となる主な理由は以下の通りです

税金の徴収漏れ

年末調整の計算誤り

記録の誤り等

詳細は次の章で説明しますが、源泉所得税は一定の計算表に従って徴収し、年末調整で最終的な税額を確定します。そのため、最終的な税額の計算ミス、従業員の記録ミス、年末調整の書類不備など、修正が必要となる可能性があります。

次に、具体的に税務調査で源泉所得税のどの部分が指摘されやすいか、詳しく見ていきましょう。

税務調査で焦点となる源泉所得税のポイント

源泉所得税の申告において税務調査で指摘を受けやすいポイントは以下の通りです。

2.1 年末調整について

毎月の源泉所得税を納め、年末調整を行って納税期限までに申告・納税することが求められます。この際、計算が適正に行われているかどうかは、税務調査で厳しく確認されます。

年末調整の際には、企業が従業員に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などを提出させます。ここで、従業員の記入ミスや、必要な書類が添付されていない場合などがあれば、税務調査で指摘される可能性が高いです。

また、残業やシフト等で毎月の給与が変動する場合、税額表に基づいて適正に計算が行われているかどうかもチェックの対象となります。

2.2 経費として計上すべきでない給与所得

経費として計上しているが、実際には給与として支払われるべき項目も、税務調査の対象となります。

例えば、従業員の個人的な旅行や飲食費を企業が支払い経費として計上する場合や、備品や消耗品、娯楽費等を経費として計上するケースなどが該当します。これらは本来、給与として支払うべきものが経費として計上されており、源泉所得税の再計算が必要となる場合があります。

また、特別賞与や報酬、退職金などに関して所得税が適切に課税されていないケースも見受けられます。

2.3 その他の源泉徴収漏れについて解説

源泉所得税は、従業員の給与だけでなく、他の支出に対しても課されます。個人事業主である弁護士や税理士、行政書士への報酬、外注したフリーランスのデザイナーや作曲家への支払いなどにも源泉所得税が適用されます。(※報酬・料金の源泉徴収)

さらに、非課税限度を超える通勤手当や、非居住者または海外勤務者への支払いについても、源泉徴収が必要な場合があるため、注意が必要です。

手に汗握る!源泉所得税の逃がさぬ落とし穴とその対処法

源泉所得税の複雑さに頭を抱えている皆さん、ここで一息ついて参考にしてみてください。税務調査で指摘されないためのポイントを詳しく解説します。

3.1 過去を見つめ直す – 書類や帳簿の再チェック

源泉所得税の正確な計算と申告のために、一旦立ち止まり、昔の書類や帳簿を再度見直しましょう。なぜなら、税務調査は過去3期分まで遡って行われるため、一つでもミスがあればまとめて指摘を受ける可能性があるからです。さらに、時にはそれ以上前の申告も調査の対象になることもあるので、5年分くらいは問題がないか確認しておくことが賢明です。

3.2 経費計上分と源泉所得税 – 妥当性が重要!

経費計上分が源泉所得税の対象となるかどうかは、その支出が経費としての妥当性を認められるか否かに左右されます。そしてこの妥当性が、源泉所得税に限らず、架空計上がないかどうかを探る税務調査において非常に重要なポイントとなります。

例えば、フリーランスや業者に対する支払いが給与とみなされたり、不審な人件費としてチェックされるリスクも考慮しなければなりません。そのため、いつでも妥当性を証明できる資料や書類、請求書等はしっかりと保管し、必要に応じて提出できるよう管理しましょう。

3.3 指摘されたらどうする?- 煩雑な手続きとその対策

もし源泉所得税についての指摘があった場合、その修正は従業員や取引先にも影響を与え、結果的に煩雑な手続きが必要となります。特に海外との取引では、非居住者や海外勤務の従業員に関する源泉所得税に加え、消費税や法人税の脱税も一緒に調査されることが多いです。

そのような状況を避けるためにも、源泉徴収の計算は細心の注意を払い、何か不安があれば税理士に相談してアドバイスを受けることがおすすめです。

まとめ

源泉所得税というのは、従業員への給与支払いに対して雇用主が税額表に基づいて徴収し、年末調整を経て申告・納税する制度のことを指します。この源泉所得税は、計算の正確さ、必要書類の有無、申告漏れや税金逃れの疑いなど、税務調査でチェックされやすい税金となっています。

また、海外取引や非居住者への支払いなど、適切な申告のためには詳細な知識が求められる場合もあります。安心して対応するためにも、専門家に相談し、問題がないことを確認しておくことが重要です。

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