税務調査直前、故意にパソコン履歴削除!税務署は復元できる?
2023.10.24
税務調査の予告が届いて、見られたくないパソコンの履歴を削除した…しかし、その操作が税務署に逆に発覚し、削除したデータまでが復元されてしまう可能性はあるのでしょうか?
この記事では、税務署が税務調査において、パソコンのデータをどのように復元するのか、またデータの削除や偽装が露見した際の影響について詳しく説明します。
税務調査が予告されて焦ることなく、冷静に対処するためのヒントも提供しますので、税務調査への備えに困った時には、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修
税務調査レスキュー110番 税務調査専門の税理士
植村悦也(うえむら えつや)
元税務署長・元マルサ担当官などをパートナーに、税務調査専門の税理士として年間100件以上の相談を受ける税務調査対策のプロ。
追徴税額を0円にした実績も数多く、Googleクチコミ4.9という人気を得ている。
目次
税務調査時、パソコンのデータが検証される可能性とは?
明確な答えを先に述べるならば、税務調査の際にはパソコン内のデータが確認される可能性は非常に高いと言えます。
1.1 強制調査も任意調査も、パソコン内の検証が必要な場合がある
税務調査は大きく分けて任意調査と強制調査の2つに分類されます。
強制調査とは、国税局の査察部が事業所に直接突入し、パソコンや金庫などを無条件で押収するといった、テレビや映画で描かれるような調査手段を指します。
しかし、一般的に行われるのは任意調査であり、これは事前に調査予告があり、調査対象との合意を得ながら進められます。
任意調査であっても、法的に税務調査の拒否は認められていないため、協力が必要となります。
そのため、「パソコンのデータを見せてください」と要求された場合は、これに対応する義務があります。
1.2 どの部分のデータが検証の対象となるのか?
パソコン内のデータが検証対象となるとき、具体的には以下のようなデータが調査されます。
会計ソフトの内容
請求書等の保存データ
メールの履歴
その他契約書、計算書、管理表
上記に加え、業務に関連したデータやエクセルなどの表計算ソフトに保存されたデータも対象となることがあります。
また、削除済みでゴミ箱に存在するデータも確認対象となることがあります。
1.3 操作履歴も調査対象になり得る
保存データだけでなく、操作の履歴も調査対象になる可能性があります。
削除されたデータの有無や、最新の更新日時などを確認されることもあります。
ただし、税務調査官が無断でパソコン内をクリックして調査することはなく、納税者が調査官の指示に従い、必要なデータを開く形となります。
「このデータは私的なもので、業務とは無関係です」と申告することも可能です。
パソコン内の調査を想定し、業務と個人のデータは事前に分けておくと良いでしょう。
1.4 資料の印刷があっても、パソコン内のデータ調査は避けられない場合も
全てのデータや資料を印刷し保存している場合でも、パソコン内のデータの検証が求められることがあります。
「すべて印刷済みです」「全てファイル化しています」と反論することも可能ですが、データを確認できさえすれば問題ないケースもあります。
そのため、調査がスムーズに進行するように、可能な限り対応に協力することが効率的でしょう。
削除したデータは本当に安全なのか?
税務調査は、私たちが保存したデータやその履歴を開示する機会が多く存在しますが、削除したデータが復元されて確認されることもあるのでしょうか。ここで驚くべき事実を明らかにしましょう:その可能性は、確かに存在します。
2.1 全部が全部、復元されるわけではない
しかし、一概に全ての削除データが復元されるわけではありません。これは、税務署がデータ復元を専門業者に依頼し、それに伴う費用が発生するためです。
それにも関わらず、費用をかけてでもデータを復元する価値があると判断された場合(例えば、大規模な所得隠しを疑われた場合)、削除したデータが復元されてしまう可能性があるのです。税務署は、調査の目的があれば銀行の入出金履歴や携帯電話の契約者情報など、個人情報も確認する権限を持っています。また、金融機関や携帯電話会社は税務署からの要求に対して情報を提供する義務があります。
これは、どれほど復元が難しいデータであっても、専門機関に依頼することで、復元が可能ということを示しています。そしてデータの復元を回避するためだけでなく、データや履歴から所得隠しや計上水増しを見つけられた場合、それは悪質な脱税行為と判断され、厳しい追徴課税やペナルティに直面する可能性があります。
2.2 税務調査に戸惑わず臨むための対応策は?
調査が迫る中で、証拠を隠蔽するためにデータを削除したり、メールを大量に作成したりすることは、絶対に避けましょう。これは、慌てて行った行動が余計な疑念を生む原因となるからです。また、確認が必要な資料が削除されてしまった場合、調査官は取引先に連絡を取るなどの迂回手段をとる可能性があります。
税務調査が突然訪れ、パニックになってしまった場合、税務調査対策に詳しい税理士に相談して、現状を共有することをお勧めします。「見つからない方が良い」と思っていたデータが、実は問題なく閲覧できるものであること、逆に「これは見せるべき」と思っていたデータが、実は必要ないものであるかもしれません。
税務署との対話や、どの資料が重要であるかについて深く知識を持つ税理士の助けを借りれば、慌てず、また焦らずに、税務調査に対応できるでしょう。
まとめ
税務調査では、パソコンの中身を見られる可能性は高いものの、削除したデータが復元されて見られるかどうかはケースバイケースです。基本的には、調査官の指示に従い、自分でパソコンの操作を行い、情報を開示することになりますが、個人の情報は見せる必要がなく、また、仕事に関係するデータであれば印刷したものも、調査がスムーズに進むために見せることが多いでしょう。
不安を感じた場合には、専門家に相談することで、焦りや不安を感じずに、税務調査に臨むことができます。
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